日本社会の進歩に貢献する AI を目指して

Google は生成 AI をはじめとする最先端技術で社会課題解決への取り組みを紹介する「The Beyond Series: Research@Tokyo - Co-imagine the Future of Society with AI -」を本日開催しました。Google は長年にわたり、AI が貢献する未来を見据え、その研究開発から社会実装に至るまでの一貫した投資を続けています。日本においても、「AI の力で解き放とう、日本の可能性」というビジョンのもと、AI を活用して日本の経済成長と社会全体の持続的な発展に貢献することを目指しています。

この取り組みの一環として、日本社会におけるさらなる AI 活用に貢献するために、本日、Google 独自の資格認定プログラム Google Prompting Essentials 日本語版コース (有料) の提供開始を発表しました。本コースでは、生成 AI に明確かつ具体的に指示を出す方法「プロンプティング」についての基礎を 10 時間以内で学ぶことができます。生成 AI に関する事前知識や特別な技術スキルは不要で、習得したスキルは多様な AI ツールやモデルに応用いただけます。本日より、こちらのページからどなたでも受講いただけます。なお、Google は、主幹事を務める日本リスキリングコンソーシアムと連携し、同コンソーシアムの新規会員を対象に、本プログラムを無料で受講できるアカウントを先着 1 万名様に配布します。
Local Growth パッケージを通じた、地方創生支援
日本の持続的な成長と発展を実現するには、各地域におけるテクノロジーの利活用も極めて重要です。Google は、2024 年 6 月に発表した東京大学 松尾・岩澤研究室との連携に基づき、生成 AI モデルの実装と AI 人材育成を通じて全国の地域課題解決を支援しています。本日現在、この取り組みは大阪府、広島県、大分県、宮城県、愛知県、栃木県、神奈川県と鹿児島県を含む全国 8 府県に拡大しており、高齢化や労働人口の減少といった課題に対し、雇用、健康、福祉、サステナビリティなどの分野で連携を進めています。
一方で、AI やテクノロジーの可能性を最大限に活かすためには、専門スキルを持つデジタル人材の育成とその役割が不可欠です。 この課題に対し、Google は本日、自治体・中央省庁など公共部門の担当者を対象にした「Local Growth パッケージ」を発表しました。
Local Growth パッケージは、地域固有の課題解決を支援する生成 AI モデルの構築・実装支援と、それを支える AI を含むデジタル人材の育成プログラム提供を二つの柱としています。これらを一体的に提供することで、地方自治体やその職員、住民の方々が、各地域の状況に適したソリューションを見出し、活用しやすくすることを目指しています。
このパッケージの一環として、今回新たに「AI Connect アカデミー」の提供を開始しました。これは、自治体や中央省庁など公共部門の皆様を対象に、AI を実務で活用するスキルを習得いただくための実践的トレーニングです。AI の基礎学習だけでなく、公共部門での具体的な事例を題材に、実際の AI ツールを活用した課題解決に取り組みます。
また、人材育成プログラムでは、行政職員を対象にした「AI Connect アカデミー」での実践的な対面トレーニング、教育関係者向けには「Gemini アカデミー」、中小企業・スタートアップ向けにはサイバーセキュリティ対策も含む専門トレーニングなどを提供しています。
AI の産業応用を通じた、ソーシャル イノベーションの創出
Google は、AI の導入が単なる経済的価値や効率性の向上に留まらず、新たな社会的価値を生み出すイノベーションの重要な推進力になると考えています。
具体的には、東京科学大学と産業技術総合研究所の「Swallow」プロジェクトでは、Gemma 2(2B、9B、27B の各サイズ)を基盤として構築することで、日本語に特化した高性能な大規模言語モデル(LLM)群である「Gemma-2-Llama Swallow」の開発に成功しました。
Gemma は多言語対応のトークナイザーを採用しているため、日本語特化に向けてトークナイザーを修正する必要がありません。無料で自由に使える柔軟なライセンスにより、企業や組織は優先度の高い重要なデータ処理を、これまで以上に円滑に進められるようになりました。このように、Gemma はその優れた基本性能と、豊富な日本語語彙に対応した独自の多言語能力により、安定した基盤を提供しました。
その結果、Gemma-2-Llama Swallow シリーズは、Gemma の持つ効率性とこの寛容なライセンス条件に支えられ、そのサイズカテゴリにおいて日本語で最先端の性能を達成しました*。その一例として 9B モデルは、日本語タスクにおいてより大きなモデルの性能に匹敵する性能を示しています。この成果により、Gemma-2-Llama Swallow は、今後の日本におけるドメイン特化型 LLM の重要な基盤モデルとして位置づけられると考えています。
AI によるヘルスケア・イノベーションの推進
日本社会の高齢化が進む中、高齢者の健康維持・向上は重要な課題です。この課題に対し、Google は、東京大学との協業の一環として、高齢者の総合的な健康改善におけるウェアラブルデバイスの有効性に関する研究調査を実施し結果を発表しました。本調査では、ウェアラブルデバイスから通知されるパーソナライズされた測定値や情報を受けることにより、通常のケアと比較して、特に認知機能が向上し、心身の衰えである「フレイル」状態の進行が抑制される傾向があることが明らかになりました。テクノロジーを用いた運動、睡眠、栄養を含む包括的なライフスタイルへの介入が、高齢者の健康増進に貢献し、健康的なエイジングを促進する可能性を示唆するものです。
AI による重度障がい者向けコミュニケーション支援「Project VOICE」のオープンソース化と新機能拡充
もっと自由に、自分らしく表現したいという思いは、障がいの有無に関わらず、すべての人による当然の願いです。今年 2 月に日本で発表した Project VOICE (Valuing Our Individual Communication Expression) は、 様々な病気や障害のために発話や身体の動きに困難を抱える方々のコミュニケーションを、AI を活用することで支援する研究開発プロジェクトです。Google の最先端の AI モデルである Gemini を基盤として、ユーザーが伝えたい言葉を予測し、より少ないステップで表現できるように支援する技術を開発しています。
本日、この技術をより多くの方に、より幅広くご活用いただくことを目指し、オープンソースとして無償公開いたしました。これにより、世界中の開発者の皆様が Project VOICE のシステムを自由に自社製品やサービスに組み込むことが可能となります。さらに多くの当事者の方に「より自由に、自分らしく表現する」体験をしていただける環境がさらに整いました。
また、オープンソース版のリリースに伴い、いくつかの新機能を本日より実装しました。入力するユーザーの意図が明確である場合に、「質問」や「否定」を選ぶことで、そのタイプに絞った質問文や否定文といった文章が得られる「文章タイプセレクター」や、デバイスのマイクを使って周囲の人の会話を聞き取り、その内容を次回の提案に活かす「会話モード」の追加、そしてこれまでの英語・日本語に加え、ドイツ語、フランス語、スウェーデン語をサポートする多言語対応です。このような機能拡充を通じて、すべての人が周囲とつながり、世界がひろがる喜びを感じられる手助けとなることを願っています。

Googleは、AI の力を最大限に活用し、日本の一人ひとりの可能性を解き放ち、ビジネスに革新をもたらし、社会が直面する課題の解決を加速させることで、日本のさらなる発展への貢献を目指していきます。